原告第1準備書面

令和2年(ワ)第14565号 総会決議不存在確認等請求事件
原  告  宮城 史門
被  告  プレカリアートユニオン

第 1 準 備 書 面

令和2年9月15日

東京地方裁判所 民事第11部に係 御中

        原告宮城史門訴訟代理人弁護士  玉 真  聡 志
同          弁護士  多 賀 野  司

 原告宮城史門(以下、「原告宮城」という。)は、被告プレカリアートユニオン(以下「被告ユニオン」という。)における総会決議が不存在ないし無効であることについて、以下の通り従前の主張を整理、補充する(なお、用語は訴状に倣うものとする)。

目次

第1 本件第1次総会(平成30年9月8日の定期大会)の決議について

 1 本件第1次総会における決議の内容   本件第1次総会において、①清水直子こと関口直子(以下「関口氏」という。)を執行委員長に選任すること、②仲英雄を副執行委員長に選任すること及び③BことB暁(以下「B氏」という。)を書記長に選任することを内容とする決議がされた。
   しかし、かかる決議には、決議事項に影響を与え得る程の重大な手続上の瑕疵が存在するため、不存在ないし無効である。以下、詳述する。

 2 被告ユニオンにおける総会決議の手続に関する定めが無視されていたこと

(1)選挙を取り仕切る大会運営委員が任命されていないこと

被告ユニオンの組合規約第12条(甲1号証)及び選挙大会規定第4条(甲2号証)によれば、執行委員会が任命した大会運営委員が、大会運営上の一切の権限をもち、選挙を取り仕切ることとなる。
しかしながら、被告ユニオンの執行委員会は本件第1次総会のための大会運営委員を任命しておらず、権限なく、関口氏及びB氏が本件第一次総会を取り仕切り、開催した。
したがって、本件第1次総会は、組合規約第12条及び選挙大会規定第4条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(2)総会決議に本来不可欠である代議員選任の手続がとられていなかったこと

 関口氏が選任された執行委員長、仲氏が選任された副執行委員長、B氏が選任された書記長などの組合役員は、「大会において代議員の直接無記名投票によって選ぶ」と定められている(規約第17条1項・選挙大会規定第5条)。そして、この代議員は、「各支部分会ごとに組合員の直接無記名投票により選出する。」と定められている(選挙大会規定第10条・甲2号証)。

しかし、本件第1次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかった。また、各地域ブロック支部では、選挙大会のための代議員選出手続は何ら取られていなかった。

このような状況下で、関口氏及びB氏は、組合規約や選挙大会規定で地域ブロック支部の代議員を指名する権限を付与されていないにもかかわらず、地域ブロック支部に無断で地域ブロック支部の代議員を恣意的に指名し、本件第1次総会の決議に参加させ、投票をさせた。

そうすることで、本件第1次総会の前に被告執行委員長の立場にあった関口氏自身が被告ユニオンの執行委員長に再度選任されるよう、被告ユニオンの執行委員長の選任手続過程をコントロールした。
労働組合の役員選任手続には民主的正当性が要求され(労働組合法第5条2項5号等参照)、それは被告ユニオンにおいても例外ではない。

しかしながら、関口氏及びB氏は、民主的正当性が要求される被告役員の選任手続で、あろうことか直接無記名投票権を有する代議員を選出する過程を殊更に無視し、関口氏らが恣意的に指名した代議員に投票させて、自身らを被告ユニオンの執行委員長及び書記長にそれぞれ選出させた。

関口氏らのこのような所為は、労働組合内の民主的正当性を著しく侵害するものであり、役員選任手続上の重大な瑕疵に該当する。

したがって、本件第1次総会には、選挙大会規定第5条、第7条及び第10条に違反する手続上の重大な瑕疵が存する。

(3)原告らに地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えなかったこと

   ア 

被告ユニオンの組合員は、当然のことながら、平等に、すべての問題に参与し、均等の取り扱いを受ける権利を有する(規約第5条・甲1号証)。   
したがって、被告ユニオン内で代議員選出のための選挙や、本部役員選出のための選挙が実施される場合には、組合員には代議員や本部役員に立候補する権利(被選挙権)が保障されていることも当然である。

   イ

 しかしながら、(1)で述べたとおり、本件第1次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかったため、原告らは、本件第1次総会において、地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えられなかった。
その結果、原告らは本部役員に選出されるために立候補する機会も与えられなかった。

   ウ

 労働組合内の民主的正当性(労働組合法第5条2項5号)を担保するためには、組合員各人に選挙権が付与される必要がある。
  そして、被告ユニオンで代議員制が採用されていることを踏まえると、被告組合員の誰にでも代議員への立候補権あるいは被選挙権が付与される必要がある。
しかしながら、関口氏らは、自己に有利にすべく、恣意的に代議員を指名し、原告らが代議員に選任される可能性を剥奪した。かかる関口氏らの所為は、原告らの代議員としての被選挙権を侵害し、被告ユニオン内部の民主的正当性を著しく侵害するものである。
したがって、本件第1次総会は、原告らの被選挙権を侵害するもので、選挙大会規定第2条に違反する手続上の瑕疵が存する。

 3 本件第1次総会の背景的事情について

平成30年2月13日、被告ユニオンが関与したアリさんマークの引越社の労使紛争について、中央労働委員会にて和解が成立した。この和解成立により被告ユニオンは1億円を受け取った。

大金を受け取った被告ユニオンは、執行委員長たる関口氏及びB氏の給与の増額を企て、関口氏はそれまでは月額30万円だった給与を平成30年4月から月額35万円に、B氏はそれまでは月額22万円だった給与を月額25万円に増額した。本件第1次総会はこの給与の増額を反映した予算案についても審議するものだった。

また、本件第1次総会における平成30年度(平成29年8月1日から平成30年7月31日)の決算報告書によれば、「行動費」として939万1833円が計上されている。平成28年9月1日から平成29年4月30日の損益計算書によるとこの8か月間の行動費は432万8190円(1か月平均で約54万円であるから、1年間換算で約648万円)のところ、平成29年8月1日から平成30年7月31日までで939万1833円に大幅に増額している。かかる行動費については、関口氏の海外旅行費用などに私的に利用され、被告ユニオンに損失を与えている。

関口氏らが所定の手続を経ずに被告ユニオンの総会を開催することによって、関口氏らによる被告ユニオンの統治体制は維持される。

その結果、関口氏らは、被告ユニオンを自己のほしいままに支配、運営することを可能にすることができ、引いては被告ユニオン内の組合民主主義を骨抜きにする事態を惹き起こしたのである。

 4 まとめ

以上のとおり、組合員の総意を反映させたとは言い難い手続上の瑕疵が存在し、かかる瑕疵は総会決議の結果に影響を与え得る重大な瑕疵であるから、本件第1次総会の決議事項は不存在ないし無効である。

第2 本件第2次総会(令和元年6月23日の臨時大会)決議について

 1 原告宮城が本件第1次総会の手続上の瑕疵を指摘し、臨時総会の開催を要求したこと

原告宮城は、労働組合である被告ユニオンがあろうことか労働法規を遵守しない体質であることに疑問を感じ、訴外DMUを結成した。

そして、平成31年3月9日付の甲3号証の書面で、本件第1次総会の手続に瑕疵があることを被告ユニオンに指摘し、臨時総会を直ちに招集すること臨時総会においては原告宮城を含む組合員の正当な選挙活動を認めること、被告ユニオンでアルバイト職に在った原告宮城が労働契約上の権利を有することを認めることなどを要求した。

 2 原告宮城が関口氏に対し、私的利用した被告ユニオンの金員を返還するよう求めたこと

 また、原告宮城は、同日付の甲4号証の書面で、関口氏個人に対し、年次大会ではなく執行委員会の場で自らの報酬を引き上げたことは疑問であること、巨額の報酬賞与金の給付や度重なる外遊や研修によって被告ユニオンの支出が増加し運営が危殆に瀕していると認識していること、などを伝えるとともに、不当利得金を返還するよう要求した。

 3 被告ユニオンが原告らを権利停止処分に付したこと

すると被告ユニオンは、平成31年3月13日付の甲5号証の「回答書」において、原告宮城と被告ユニオンとの間に労働契約関係はなく、原告宮城は労働基準法上の労働者に該当しないなどと回答した。

また、原告宮城が訴外DMUを結成したことが、被告ユニオンに対する分派活動にあたるという理由で、被告ユニオンは平成31年3月17日付で、組合員としての権利停止(平成30年3月17日から1年間)の制裁を課した(甲6号証)。

組合員にとって、権利停止処分は重大な権利侵害処分であるから、同処分を下された原告宮城には弁明の機会が付与されるべきである。被告ユニオンの規約でも、「本人の弁明を妨げない。」ことが同規約第7条3項に規定されている。

しかしながら、被告ユニオンは、原告宮城に弁明の機会を付与しないまま、権利停止処分を下した。
今回、原告宮城が被告ユニオンないし関口氏の不正を指摘し、被告ユニオン運営の是正を求めた行為は、被告ユニオンの運営上の不透明さを是正し、浄化を図るというきわめて真っ当なものであった。
しかしながら、被告ユニオンは、原告宮城に対する弁明の機会を付与しないまま、同人が分派活動を行ったという不明瞭な理由で権利停止処分を下した。

これは、関口氏の個人的事情である外遊や研修費用の増大による財政危機を隠匿するためという、関口氏の私情に基づく原告宮城に向けられた報復と考える外ない。

以上の諸事情からして、被告ユニオンによる原告宮城に対する権利停止処分は、いわゆる権利の濫用(民法1条3項)に該当し許されず、無効であることは明らかである。

 4 本件第2次総会の開催

以上のとおり、原告宮城から本件第1次総会の手続上の瑕疵を指摘された被告ユニオンは、本件第2次総会(令和元年6月23日の臨時大会)を開催した(甲10号証)。
本件第2次総会の第1号議案は、「2012年4月9日のプレカリアートユニオン設立以降のすべての大会、執行委員会における決定を追認する。」というもので、被告ユニオンがそれまでの定期大会、執行委員会における決定に手続上の重大な瑕疵があったことを意識していることが明らかである。

   次に、第3号議案では、①清水直子こと関口直子を執行委員長に選任すること、②仲英雄を副執行委員長に選任すること及び③BことB’を書記長に選任することなどがその内容とされていた。

甲10号証の議事録では、これらの議案が可決されたことにされているが、かかる決議には重大な手続の瑕疵が存するため、不存在ないし無効である。以下、詳述する。

 5 被告ユニオンにおける総会決議の手続に関する定めが無視されていたこと

(1)選挙を取り仕切る大会運営委員が任命されていないこと

第1・2で述べたとおり、被告ユニオンの組合規約第12条(甲1号証)及び選挙大会規定第4条(甲2号証)によれば、執行委員会が任命した大会運営委員が、大会運営上の一切の権限をもち、選挙を取り仕切ることとなる。当然のことながら、大会運営委員は大会より前に任命されなければならない。

しかしながら、被告ユニオンの執行委員会は本件第2次総会の前に大会運営委員が任命されなかった。なお、本件第2次総会中にB氏が大会運営委員として任命されているようだが(甲10号証)、大会運営委員は執行委員会が選任するものであり、また、(2)で述べる代議員選出の選挙も取り仕切る必要があることから大会前に選任されなければならないのはいうまでもない。

したがって、大会運営委員が適切に選任されていない本件第2次総会は、組合規約第12条及び選挙大会規定第4条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(2)総会決議に本来不可欠である代議員選任の手続がとられていなかったこと

第1・2で述べたとおり、被告ユニオンの役員は、「大会において代議員の直接無記名投票によって選ぶ」と定められている(規約第17条1項・選挙大会規定第5条)。そして、この代議員は、「各支部分会ごとに組合員の直接無記名投票により選出する。」と定められている(選挙大会規定第10条・甲2号証)。

しかし、本件第2次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかった。それだけでなく、関口氏及びB氏は、原告ら地域ブロック支部での投票が実施されていないにもかかわらず、またその権限がないにもかかわらず地域ブロック支部に無断で地域ブロック支部の代議員を恣意的に指名し、決議に参加させ、投票をさせた。すなわち、甲12号証の2の代議員名簿によると、関口氏及びB氏ら11名が代議員に選任され、本件第2次総会に出席し、議決権を行使したとされるところ(甲10号証)、この代議員11名は所属する支部又は分会における投票で選出されていない。

前記第1.2(2)と同じく、代議員を選任しない大会は民主的正当性に欠けるものであり、大会での決議事項が組合員の総意を反映させたものと言い難いことは明らかであるから、重大な手続上の瑕疵が存する。

したがって、本件第2次総会には、選挙大会規定第5条、第7条及び第10条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(3)原告らの地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えなかったこと

第1・2で述べたとおり、組合員には代議員や本部役員に立候補する権利(被選挙権)が保障されているが、(2)で述べたとおり、本件第2次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかったため、原告らは、本件第2次総会において、地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えられなかった。

前記第1.1(3)のとおり、労働組合内で認められる民主的正当性(労働組合法第2条5項5号)を担保するため、被告組合内では、組合員各人に代議員としての被選挙権が付与される必要がある。
しかしながら、関口氏らは、自己に有利にすべく、恣意的に代議員を指名し、原告らが代議員に選任される可能性を剥奪した。かかる関口氏らの所為は、原告らの代議員としての被選挙権を侵害し、被告ユニオン内部の民主的正当性を著しく侵害するものである。

また、原告宮城は、本件第2次総会の当日に、会場で直接本部役員に立候補し、選挙に参加しようとしたが、原告宮城が不法侵入をしていると偽って警察を呼ぶなどして会場への入場及び立候補を阻止した。

原告宮城への権利停止処分を根拠に本件第2次総会への参加を拒絶したとしても、3で述べたとおり、当該権利停止処分は無効であることから、被告ユニオンが本件第2次総会に原告宮城を参加させなかったことは違法である。

他方で、被告ユニオンは、組合費を3か月以上滞納して当然に組合員資格を失った者2名(押見貴之氏及び久保淳氏)について、本件第2次総会への出席を認めている。かかる処分は、組合員の平等的取り扱いを定める規約第5条2項に違反する。

以上から、本件第2次総会は、原告宮城らの選挙権及び被選挙権を侵害し、選挙大会規定第2条に違反することの外、被告ユニオンの規約第5条2項違反が存することを内容とする手続上の瑕疵が存する。

6 まとめ

以上のとおり、本件第2次総会の決議は、組合員の総意が反映されたとは認められない総会決議であり、手続が適正であれば決議事項に影響を与えるほどの手続上の重大な瑕疵が存することから、本件第2次総会は不存在ないし無効である。

第3 本件第3次総会(令和元年9月14日(訴状において「9月15日」とあるのは本書面で「9月14日」と訂正する)の総会)の決議について

1 本件第3次総会の開催

被告ユニオンは、本件第3次総会(令和元年9月14日の定期大会)を開催した(甲10号証)。
本件第3次総会では、①清水直子こと関口直子を執行委員長に選任すること、②仲英雄を副執行委員長に選任すること及び③BことB’を副執行委員長に選任することなどを内容とする決議がされた。

しかし、かかる決議には重大な手続きの瑕疵が存するため、不存在ないし無効である。以下、詳述する。

 2 被告ユニオンにおける総会決議の手続に関する定めが無視されていたこと

(1)選挙を取り仕切る大会運営委員が任命されていないこと

第1・2で述べたとおり、被告ユニオンの組合規約第12条(甲1号証)及び選挙大会規定第4条(甲2号証)によれば、執行委員会が任命した大会運営委員が、大会運営上の一切の権限をもち、選挙を取り仕切ることとなるが、本件第3次総会の前に大会運営委員は任命されなかった。
したがって、大会運営委員が適切に選任されていない本件第3次総会は、組合規約第12条及び選挙大会規定第4条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(2)総会決議に本来不可欠である代議員選任の手続がとられていなかったこと

第1・2で述べたとおり、被告ユニオンの役員は、「大会において代議員の直接無記名投票によって選ぶ」と定められている(規約第17条1項・選挙大会規定第5条)。そして、この代議員は、「各支部分会ごとに組合員の直接無記名投票により選出する。」と定められている(選挙大会規定第10条・甲2号証)。

しかし、本件第3次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかった。

したがって、前記第1及び第2のとおり、組合員の総意が反映されたとは認められない総会決議がなされた本件第2次総会には、選挙大会規定第5条、第7条及び第10条に違反する手続上の瑕疵が存在し、これらの手続が適正であれば決議事項に影響を与えるほどの重大な瑕疵であったといえる。

(3)原告宮城らの地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えなかったこと

第1・2で述べたとおり、組合員には代議員や本部役員に立候補する権利(被選挙権)が保障されているが、(2)で述べたとおり、本件第3次総会の代議員を選出するための直接無記名投票は開催されなかったため、原告らは、本件第3次総会において、地域ブロック支部の代議員として立候補する機会を与えられなかった。

また、被告ユニオンは、原告宮城に対して令和元年9月13日付の「警告書」(甲14号証)を送り付け、権利停止中であるから定期大会に参加する資格はなく、会計監査に立候補する資格もない旨通告した。そして、同月14日の本件第3次総会当日も原告宮城が不法侵入をしていると偽って警察を呼ぶなどして会場への入場及び会計監査への立候補を阻止した。原告宮城への権利停止処分を根拠に本件第3次総会への参加を拒絶したとしても、第2・3で述べたとおり、原告宮城への権利停止処分は清水氏の私情による報復として権利の濫用に該当し無効であることから、被告ユニオンが本件第2次総会に原告宮城を参加させなかったことは違法である。

他方で、被告ユニオンは代議員でない組合員について、本件第3次総会への出席を認めており、このことは、組合員の平等的取り扱いを定める規約第5条2項に違反する。

以上から、本件第3次総会は、原告宮城らの選挙権及び被選挙権を侵害するもので、選挙大会規定第2条に違反する手続上の瑕疵が存する。

(4)裁判上の和解に反し、訴外高木を出席させなかったこと

訴外高木は、本件第3次総会に訴外高木が出席することを妨害してはならない旨の保全命令を求め、仮処分を申し立てた(御庁令和元年(ヨ)第21092号)。かかる手続の中で、「債務者(被告ユニオン)は、債権者(訴外高木)が令和元年9月14日に開催される債務者の定期大会に出席することを認める」内容の和解が成立した(甲15号証)。

   それにもかかわらず、訴外高木が本件第3次総会に出席することを妨害し、被告ユニオンの会計資料を閲覧させず、被告ユニオンの役員として立候補することを妨害した。

   以上から、本件第3次総会は、訴外高木の選挙権及び被選挙権を侵害するもので、選挙大会規定第2条に違反する手続上の瑕疵が存する。

3 まとめ

以上のとおり、手続上の重大な瑕疵が存することから、本件第3次総会は不存在ないし無効である。

第4 本訴の意義について

原告宮城は、関口氏及びB氏が被告ユニオンをほしいままに支配、私物化して、被告ユニオンに損失を与え続けていることを憂慮している。

被告ユニオンの履歴事項全部証明書(甲18号証)によれば、被告ユニオンの前代表者である大平正巳氏は平成25年4月11日に退任したようだが、その登記がされたのは平成30年11月6日であった。

また、大平氏の次に代表者となった関口氏は、平成27年9月19日に被告ユニオンの代表者に就任したようであるが、その登記がされたのも平成30年11月6日であった。

大平氏が代表を退任した平成25年4月11日から関口氏が代表に就任した平成27年9月19日までの代表不在の空白期間において、果たして適法に関口氏が代表に就任する手続がとられたのか、極めて疑わしい。うやむやのまま関口氏が被告ユニオンの代表者を自称するようになり、その結果、被告ユニオンを私物化するようになったとすれば、直ちに被告ユニオンの体質を是正する必要があり、労働者たる組合員のための労働組合という本来の姿に戻す必要がある。

被告ユニオンの大きな問題の一つとして、「行動費」名目で関口氏及びB氏が生活費や海外旅行などの遊興費に私的に使用していることが挙げられる。

被告ユニオンの平成28年9月1日から平成29年4月30日の残高試算表によると対象期間の8か月間の行動費は約432万円、月額平均で約50万円に過ぎなかった。しかしその後、2018年度の被告ユニオンの決算報告書によると、収入が約4270万円であるのに対し行動費の支出は約939万円と増額した。さらに、2019年度は収入が約3106万円と前年度から1000万円以上収入が減ったにも関わらず、行動費は約1132万円に増額された。さらに、2020年度の予算案では収入が約3156万円と2019年度と同額を見込んでいるのに対し行動費の予算は1300万円とさらに増額させている。こうして、関口氏及びB氏は多額の行動費を予算として確保した上で、生活費・遊興費に使用することを可能とするため、被告ユニオンをコントロールしている。

また、被告ユニオンでは、組合員に対して適切に賃金を支払わないなど、労働組合としてもってのほかの不正もある。

原告宮城はかかる被告ユニオンの不正を知り、代表である関口氏に是正を要求したが、関口氏は、原告宮城の分派活動を理由に組合員の権利停止処分を出し、大会への参加を妨害する等の報復的措置を講じた。

そして、引き続き、適正な手続に則った選挙を実施せず、関口氏体制の維持が図られていることから、被告ユニオン内では、もはや自浄のための機能が失われてしまっている。

そこで、原告宮城らは、本訴を提起した次第である。

以 上

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